会長あいさつ

八戸地域防災協会

災害に関する警句として有名な「災害は忘れたころにやってくる」は、物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦の言葉とされていますが、最近は、天災は忘れないうちにやってきます。もし寺田寅彦が生きていたら、どんな言葉を発したことでしょう。

2023年8月にハワイ・マウイ島で発生した大規模山林火災は記憶に新しいと思います。多くの命が失われ、観光が主な産業である地域に大きな傷跡を残しました。年明け早々、今度は1月にロサンゼルスで、3月には韓国で大規模な山林火災が発生しました。我が国においても、2月から3月にかけ、岩手県、愛媛県、岡山県などで相次いで発生し、これまでにない大きな被害となっております。森林は大気中の二酸化炭素を吸収し、蓄える役割を持っていますが、火災によって二酸化炭素が一気に放出されます。そのことが、地球温暖化を「加速させる要因」となります。このような「悪循環」を止めるには、一人ひとりが山林火災リスクへの意識を高め、日頃からできる行動をとることが大切です。

山林火災の原因の6割が、たき火、野焼きなど、地域住民の不注意によるものと言われています。また、乾燥と強風が重なることによって大きな被害に拡大します。226日に発生した大船渡市の山林火災では、市の面積の10分の1が焼失したと報道されました。家屋など200棟以上が火にのまれてしまいました(死者1人)。発生から12日目にようやく鎮圧が宣言されました。翌日に避難指示が解除されるまでの間、2400人余りの住民は、とても不安な日々を過ごされたことでしょう。

山林火災の被災地は、14年前に東日本大震災で大きな津波が押し寄せました。津波が陸地を駆け上がった遡上高は、岩手県大船渡市綾里湾で 40.1m という我が国の観測史上最大の数値が計測されました。そのため、震災後に地盤のかさ上げや住宅を高台移転し安全・安心な地域にしたはずでした。しかし、今度は山林火災によって多くの家屋を焼失してしまいました。避難指示の解除後に変わり果てた¨ふるさと¨をどのような思いで・・・。住民の皆さんの心情を思うと心が痛みました。

これから大雨のシーズンがやってきます。山の表面は落ち葉や枯れ草などが燃えてできた灰の堆積物で覆われ、降った雨が浸み込みにくい状況が予想されます。もし大雨が山の表面を流れ下ると、土砂災害のリスクを高めます。行政機関で対策が取られているとは思いますが、くれぐれも、そのようなことが起こらないようにと、祈る思いです。

いざという時の為に、日ごろからの防災対策が大切です。災害が発生しても混乱なく、落ちついて適切に対処することができます。そして自分の命は自らが守るという強い意識を持つことです。各自で身の安全を確保した後に、救助や支援が可能となります。

当協会は、「活動して仲間となる」ことを目指し、地域の防災意識の普及啓発に努めて活動をしております。今後とも当協会の活動にご理解を頂き、ご指導・ご協力を何卒お願い申し上げます。 

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